「計算ゲーではなく、概念ゲー」。物理専門塾を2ヶ月で満員にした訴求の再設計
資料請求CPA5万円、差別化要素なし、戦略なし。親御様へのインタビューで見つけた「物理は計算ゲーではなく概念ゲー」というインサイトを軸に、ターゲットと訴求を組み直し、チラシとリスティング広告で2ヶ月で満員に。あわせて収益構造も物理専門へ組み替えた事例です。

クライアント:FaciLitA(大阪・物理専門塾)
ターゲット:物理が苦手な高1〜高2生、浪人生
施策:親御様インタビュー → インサイト抽出 → 訴求・ターゲット再設計 → チラシ+リスティング広告 → 収益構造の転換
Before:資料請求CPA 5万円/差別化要素なし/戦略なし
After:2ヶ月で満員、物理専門の高収益モデルへ
課題:CPA5万円の広告と、「売り」が見つからない塾
ご相談のきっかけは、以前依頼していた広告代理店の成果でした。資料請求1件あたりのCPAは5万円。資料請求から入塾に至る歩留まりを考えれば、明らかに採算の合わない水準です。
原因は、広告運用以前にありました。当時のクリエイティブには他塾との差別化要素がなく、「誰に、何を、なぜこの塾なのか」という戦略がなかったのです。ただ広告を出稿し、予算を消化しているだけの状態でした。
さらに、構造的なハードルが2つ重なっていました。
- Whatの設定が、勝てない軸だった
- 講師が大手塾出身という実績から、「ここに通えば医大に受かる」というベネフィットを掲げていました。しかし「安心感」で選ばれようとすると、規模でも実績でも上回る大手塾には構造的に勝てません。一見正しく見えて、実は負ける戦い方になっていました。
- 生徒が増えても利益が残らない。
- 物理と数学以外の科目はアルバイト講師に依頼していたため、1回あたりの授業の利益が薄く、集客できても手元にほとんど残らない収益構造になっていました。
つまり、集客と収益構造の両方を同時に直す必要がありました。
やったこと①:広告を触る前に、親御様の話を聞いた
最初に着手したのは、広告の改善ではありません。実際に通塾している生徒様及び親御様へのインタビューです。
差別化要素というのは、多くの場合、社内では「当たり前」になっていて見えません。それを言葉にできるのは、外から入ってきて、比較したうえで選んだ人。つまりお客様です。
インタビューを重ね、深掘りしていくと、共通する体験が浮かび上がってきました。
「物理は計算ゲーだと思っていた。公式を覚えて、数字を当てはめる科目だと。でもこの塾の体験授業を受けて、物理は計算ゲーではなく、概念ゲーなんだと身に染みた」
物理が苦手な生徒の多くは、計算力が足りないのではありませんでした。「いま何が起きているのか」という物理の本質である概念を理解していないから、公式をどう使えばいいのかが分からず、解けない。この塾の授業はまさにその概念から教えるため、体験授業の1回で「分かる感覚」が変わる。
これが、この塾だけが言える独自性でした。
やったこと②:「苦手の正体」を突きつける訴求に変えた
見つけたインサイトを、そのまま訴求に。
「いま物理が苦手なのは、計算が苦手だからではない。物理の本質である"概念"を理解していないからだ」
「丁寧な個別指導」「実績豊富な講師」といった、どの塾でも言えるメッセージは捨て、その代わりに、苦手な本人と親御様が薄々感じていながら言語化できていなかった「苦手の正体」を、広告の一行目で言い切る構成に。
ターゲットも明確に絞りました。
- 高1〜高2生:苦手意識が固まる前で、概念から学び直す時間がまだ残っている層
- 浪人生:一度うまくいかなかったからこそ、「勉強法そのものが間違っていた」という説明が最も刺さる層
チャネルは、地域の認知を取るチラシと、「物理 苦手」「物理 わからない」といった悩みが顕在化した検索を拾うリスティング広告の2本。広告文もチラシもLPも、すべて同じインサイトで統一しました。
やったこと③:収益構造を「物理専門」に組み替えた
集客が回るようになっても、利益が残らなければ意味がありません。
アルバイト講師に頼る他科目は、授業を増やすほど利益率が下がる構造でした。一方で、塾の強みも、生徒が選ぶ理由も、明確に「物理」にあります。そこで、事業そのものを物理専門の塾として再定義し、1回あたりの授業の利益率を大きく引き上げました。
「物理専門」はターゲットが狭いという集客上の弱点でもありました。しかし訴求を尖らせれば、その狭さは「この塾でなければならない理由」に変わります。集客戦略と収益構造を、同じ軸で揃えたかたちです。
結果
- 訴求の切り替えから2ヶ月で満員
- 「差別化要素がない」状態から、この塾だけが言える独自性を軸にした集客へ
- アルバイト講師に依存した薄利の構造から、物理専門の高収益モデルへ転換
この事例から言えること
- 差別化要素は、社内ではなく顧客の言葉の中にある。 「概念ゲー」という言葉は、私たちにもクライアントにも作れませんでした。体験した親御様だけが持っていた言葉です。
- ターゲットが狭いことは、弱点ではない。 広く薄く届けようとするから無駄打ちになる。狭い層の「苦手の正体」を言い当てれば、狭さはそのまま選ばれる理由になります。
- 集客と収益構造は、セットで設計する。 どれだけ集客できても、1回の授業で利益が残らなければ事業は続きません。広告の前に、事業の構造を見ます。